page.12『神』

夜神家では泊り込みの父親に着替えを持っていくよう粧裕が言われていた。嫌がる粧裕を見てライトは自分が行くことを申し出る。警察庁の受付まで偵察にいけると考えてのことだ。彼はデスノートを1ページ切り取って持ち出すと警察庁に向かった。
警察庁に向かうライト。父の携帯に連絡を入れるが通じない。不審に思う彼が受付に向かうと、そこではレイの婚約者が押し問答をしていた。「だから何度も言っている様にキラ事件の捜査本部は今だれもいないんです」「昨日約束したのに誰も居ないなんて変じゃないですか」本部に誰もいない、つながらない携帯、食い下がる女性、ライトは不思議に思って探りをいれることにする。
さりげなく自分の名前と肩書きを言い、受付に着替えを渡すライト。受付の人は誘導に引っかかり、過去に保険金殺人事件を解決したこと、キラ事件も推理しているのか、などといった話題をライトにふる。ライトは「うまくいけばLを出し抜けるかも…」などと言ってさりげなく自己アピールをする。

そしてライトは婚約者に提案をもちかける。「僕の父はキラ事件の本部長ですから、もしよければ僕が取り次ぎましょうか。もっとも今は携帯を切っているみたいなので、今すぐとはいきませんが…FBIの死でここの本部でもキラを恐れ辞める者が続出して、今はゴタゴタしてるんだと思います」婚約者はしばらくライトを値踏みするようにみて、彼の申し出を受けることにした。
どうせろくな情報じゃないが、念のために聞き出しておこうと考えるライト。警察庁内では監視カメラが邪魔なので外へと婚約者を誘い出そうとする。「僕の考えでは…、キラは世間で言われてるよりはるかに恐ろしい力を持っています」と切り出すライトに、婚約者は 「私もそれに気付いてここに来たんです」と話を始める。「本当に気付いたのならあなたはすごい人だ。しかしここで話すのはちょっと…今となっては警察内の方が危ない。外に出ましょう」

婚約者はライトの申し出を受けた。外を歩く二人。ライトは自分の名前が「やがみらいと」漢字が「夜の神に月と書く」ことを説明。婚約者はそれに応じるかのように、「まきしょうこ」間に樹木の木、照らす子どもであると自己紹介する。そこには、名前を聞き出すことに成功したライトを見て笑うリュークの姿があった。
自己紹介を終えたところで、ライトはキラは人を殺すときに直前の行動を操れるという推理を語る。婚約者はライトの考えに驚き、「死の前の行動を操れる…それだけじゃない。私の考えが正しければ…キラは行動を操った上、心臓麻痺以外でも人を殺せる」と自分の考えを話す。なんなんだ?この女?と驚くライトに照子は話を続ける。
「このことを前提に捜査すればキラは捕まると思っている。私の知り合いが多分キラに会っている。簡単には信じてもらえないから筋道たてて捜査本部の人間に説明したかった。その知り合いは今はもういない。なぜなら彼は日本に来たFBIの一人であり、私の婚約者でもあったからだ。彼は偶然バスジャックに巻き込まれた。バスの中でキラに会ったのではないか」

照子が着目したのは、コンビニ強盗が死んだ事件、そしてバスジャック犯の事故死の2つの事件。一日に二人の指名手配犯が再び犯罪を犯し、そして事故のような死を遂げる、あまり例のないことだ。そしてその八日後、FBI捜査官は皆殺しにされた。その八日間に都内で罪の軽い人でも20人以上死に、FBIの死後、その現象はとまった。
コンビニ強盗もバスジャック犯もレイも…みなキラが日本に入ったFBIを殺すために利用された
としか私には考えられない、と。「コンビニ強盗はバスジャックさせる予行演習だったと考えられないこともない…そしてバスジャックはFBIの情報をキラが彼から盗むためです」

語りつづける照子にライトは、少し話が飛躍しすぎているのではないかと指摘をする。しかし、照子は「いいえ。バスジャック犯だけはキラに操られていたとしか考えられない」とこれを否定。なぜならば、照子は機嫌のいいときにレイから、相手こそわからないものの「やむを得ずバスの中で人にFBIのIDを見せた」ということを聞き出したからだそうだ。
「日本の警察には極秘の捜査でしたから『IDは出すな』と上から言われてたそうです。私にもバスジャックとIDの事は誰にも言うなと口止めしたくらいです。だから…日本に入ったFBIの存在は彼から漏れたとしか思えない」

語り終えた婚約者にライトは否定的な見解を投げかける。「つまりあなたの婚約者に素性を明かさせるためにバスジャック事件を起こしたと言うことか。そしてバスジャック犯は事故死…心臓麻痺以外でも殺せるという事になる…あなたしか知らない事実と婚約者を奪われた執念からあなたはひとつの推理をした…しかし私情が絡み、強引で裏づけのない推理になってしまっている…」と。
だが、ライトはこうもいった。「しかし…この考えで捜査する価値は十分あります。キラという得体の知れない者を追っている、今の警察にとっては重大な証言になりうる」信じてもらえたことに喜ぶ照子。
ライトは続ける「そしてこの考えが正しければあなたが言った様にキラはすぐに捕まります。なぜならこの考えが正しければ−あんたの婚約者がバスの中でIDを見せた相手がキラなんですから」
酷薄な笑みを浮かべ、ライトは考える。この女が僕より先に警察にこの事を話していたら…どうやら死神じゃない方の神は僕の味方らしい。

Back Story Next